簡単な自動車運動学
○運動力学その2:酔い易い車と酔わない車

 『私は車酔いします』!!( ̄^ ̄)キッパリ!!
 イキナリで何ですがそうなんです。
 平衡感覚は優れている方だと思うんですが、それが災いするのか小さい頃から今に至り車に酔うんです。
 そんな私ですが、同乗者から『家の車だと酔うのにcaraboさんの車だと気持ち悪くならないの。』
 とよく言われます。
 別に『愛に酔わせているから・・・』とか言う落ちではなくて
 『どう運転すれば酔わないか経験的に知っていて実践している』からです。
 もちろん運転のテクニックだけではなく車の特性や路面状況も大きく関係していますけど。
 このページでは、そんなこんなを書いてみます。

1.乗り物に酔う

 私以外でも結構『バス』や『船(海上バスやフェリーなど)』で酔う人っていると思います。
 それに対して自転車やオートバイで乗物酔いした人っているんでしょうか?
 乗物に弱い私ですが、二輪車では一度も酔ったことがありません。
 なぜだ!・・・坊やだからさ・・・じゃなくて・・・  ((すみません。赤い彗星好きなんです!))
 この2車の違いの中に『酔い易さのメカニズム』があります。

 人間の平行感覚は三半規管によって知覚されます。しかしその他にも視覚や体感する慣性力、シート等から受ける圧迫力(触覚)など全ての知覚器官の情報を脳が整理して自分の運動状況を理解します。
 その理解に応じて身体の姿勢を維持する為に筋肉の緊張緩和を繰り返しています。
 乗り物酔いは脳が理解している自分の運動と相反する刺激が各知覚器官から入った時に脳が混乱しストレス物質が分泌される現象です。
 車酔いする本人が言うのだから間違いありません。

 簡単な例を言うと、バスが右に曲がる時を想像してください。
 視覚情報やアナウンス、過去の経験などからバスが右折すると脳が理解する時には、同時にバスの旋回量に応じて自分の身体には左方向に慣性力が掛かる筈だと無意識に予測しています。
 しかし実際は左方向の慣性力だけでなく前後左右あらゆる方向に、いつ収束するとも判らない揺れ
(変位のズレ)を感じます。
 これが、理解している運動と反する知覚情報(ノイズ)です。
 本来入力されるべき知覚情報を乱すこれらのノイズが脳の処理能力を超えてしまうと身体に変調をきたし、つまり酔ってしまうんです。
 雑誌などを読んでいてバスの運動状況を把握していないと、更に酔い易くなるもの同じ理由です。


2.酔い易い乗り物、酔い難い乗り物

 酔い易い乗り物というと、バスや船が思い浮かびます。
 この共通点は背が高いと言うことです。
 乗り物の背が高くなると、乗り物が揺れる角度は同じでもふわふわした長周波の振幅(大きい揺れ)が乗員を襲うようになります。
 このふわふわした揺れがダメなんですよね。

 背が高い車の場合、遠心力は同じでも重心の高さに比例してローリングモーメントが増大する為、同じ速度でカーブを曲がっても大きくロールし易くなっています。
 そうなると車の安定性を保つ(ひっくり返らないようにロール剛性を上げる)為、サスペンションのバネ定数を高くしなければならないのでゴツゴツした乗り味になり、路面のデコボコを振動として伝え易くなります。
 それを乗員に感じさせないようにする為には、サスペンションをソフトマウントして音を遮断する手法がとられますが、これが酔い易い者にとっては車の運動と関係ないタイミングの揺れを感じさせる温床になり不快なものに感じます。

 車の背が高くなれば材料を沢山使う分車体質量が増大するので、同じ速度でも遠心力そのものが大きくなり更に上記傾向が促進されているんですけど。

 スポーツカーはゴツゴツして乗り心地が悪いと思われがちですが、スポーツカーがゴツゴツ感じるのは、バネ上質量が小さく(タイヤに比べて車体が軽い)更に扁平率の小さいタイヤを使う為です。
 または、スポーツカーとしての素養が無い車体をスポーツカーであるかの様に演出する為ロール剛性を上げる(硬いバネを使う)車が多いからでしょう。
 フェラーリやロータスのようにメカニカルグリップの優れたスポーツカーは、スタビライザーも細いですよ。
 もともと車体のローリングモーメントが小さいスポーツカーは、バネに大きな捩れ剛性を持たせる必要が無いからです。


 話を戻し、前に書きましたバイクの場合はどうでしょう。
 バイクは旋回する時に自分の体重移動で遠心力に対抗するという性質上、脳が理解する運動のイメージと身体が受ける慣性力は完全に一致します。
 それに加え身体が外に露出する為、風による皮膚刺激で脳がクリアーになり周りの状況も掴み易く、まるでバイクが自分の手足であるかのように走れます。
 感覚にズレが無い。だから酔わないんです。

 スポーツカーも同じです。
 自分の手足のように感じられるスポーツカーは、バイクと同様に酔い難い乗り物です。
 元々スポーツカーが好きな私は、スポーティな車ばかり乗っていましたので、結果的に酔い難い車ばかり選んでいたんです。

 ところで最近、スポーツカーといえばオープンモデルが多いですね。
 風に触れる気持ちよさも大切ですが、車体剛性を確保する補強を車体のフロアで行う為、同じ様な車体形状でも重心が低くなると言うのが最大の美点だと思います。


3.酔い易い運転、酔い難い運転

 同乗者が酔わない様にするためには、車の特性だけではなく運転の仕方も関係します。
 一言で言えば、車の運動と関係ない余計な揺れを感じないように運転すれば、酔い難くなります。

 具体的に表現すると以下のようになります。
 @加速中は一定の加速Gが掛かるように意識し変速ショックの無いペダルワークをする。
 A減速時はブレーキの踏力を一定に保ち一定の減速Gを保つ。
 B旋回時は極力ステアリングの切り足しをしないで一定の遠心力を感じるようにする。
 C路面のうねりで発生する車体のピッチングはアクセルワークで積極的に打ち消す。
 Dタイヤバランスや空気圧を適正にし、余計な振動を発生させない。

 ちなみに私が自分で買った車は全てマニュアルトランスミッション仕様です。
 A/Tでは上記@Cを実践することが困難で、納得した操作感が確保できなかったからです。
 正確に言うとA/Tに多く採用されているトルクコンバーターでは、ペダル操作(エンジン回転の増減)と車の挙動とのタイムラグが発生しますが、私はこのズレを許容できないんです。


 まぁそんな理屈を抜きにして、スポーツカーが好きなんですけど。


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