徒然なる随筆1.人が自動車に求めること
○自動車の役割、人は何を求めて自動車を創ったのか。

 人が道具を生み出す理由は全て同じです。『出来ないことを出来るように工夫する』為です。
 何故自動車が創られたか整理すると、人が自分の能力を超えて行動したいと切望した時これを補助する道具として創り出されました。
 現在の自動車は馬車から発展した道具ですが、大きく3つの願望を満たす為に創造されたんだと思います。


願望1つ目;より速く、より遠くへ移動したい。(超人的な運動能力)

 例えばF−1、GT選手権、WRCなどで見られるレーシングカーでしょうね。(ガンダムもこの部類に・・・)
 それを個人レベルで楽しめるようにしたのがスポーツカーと言うところでしょうか。
 これは自然の中で生き抜くために狩りをしたり縄張りを守って戦うという生存競争の為、強靭な身体と運動能力を欲する雄としての欲求=闘争本能の欲求です。

願望2つ目;移動中に、雨風や獣から身を守りたい。(移動式の安全地帯)

 簡単に言うと移動式のリビングです。
 車に例えると豪華なキャンピングカーで、それをもっと手頃にしたのが最近人気の1BOXですね。
 これは精神的な安息を欲し、子供を安心して育てられる安定した生活環境を欲する雌の欲求=母性本能の欲求です。

願望3つ目;より多くの荷物を持ち運びたい。(効率的な運搬手段)

 例えば最も基本的な形は『荷車』で、自動車の形態ではアメリカ大陸を突っ走るコンボイのような大型トレーラー、トラックになるでしょう。
 人を荷物と同じ様に扱ってしまう大型バスもこの分類に入るのかもしれません。
 これは本能的な欲求ではなく、社会活動を効率的に維持する物流手段として必要な理性的な要求です。
 そして上の3つを同時に満たそうとした結果、少しずつ妥協してそこそこの満足を求めたのがセダンやワゴンです。

 そして私が自動車に最も強く求めた欲求は1つめの願望=運動能力の拡大です。
 走り回ったり体を使って遊ぶ事が好きな子供は、スポーツカーが好きなんですね。


 昨今の国産自動車メーカーのラインアップを見ると、スポーツカーが減少して背の高い車ばかりです。
 願望2が支配的になっているからでしょうね。こんな所からも女性の時代を実感します。


 例えばスカイラインの様にかつて『GTRによって実証された走行性能の高さ』を売りにしてブランド化していた車でさえも、今はその顧客の期待値を忘れて大型化し車高も高くなりました。
 中学生でも解る物理法則ですが、同じ材料(鉄)で作る限り大型化すれば当然多くの材料を使うから質量が大きくなり重心も上がります。
 質量が増え重心が上がれば旋回時の遠心力が同じでも生じるモーメントは大きくなり外輪荷重比率が高まる。外輪だけで荷重を受ける必要性からばね定数が上がり、ばね反力を受ける車体補強の為また重量が増加していき・・・。
 この負の悪循環の結果『鈍重で走行性能も燃費も乗り心地も悪い中途半端な車』が出来上がり、スカイラインと名付けられた。

 かつてのブランドを継承していない車にブランドを名乗らせて売ると言う事は、元々ブランドを支持していた顧客の期待を騙して売りつける詐欺のような行為です。
 こんな馬鹿げた車を造り続けていればブランドの魅力は薄れて行き、いずれスカイラインはブランドとして存続できなくなるでしょう。
 ブランドかどうかを決めるのは顧客だから、いずれ答えは出ますよね。

 もし日産がスカイラインというブランドネームを大切に思うなら、スカイラインGTRの復活が最初の一歩になります。レースの圧勝無しでスカイライン伝説は語れないのだから。
 レースと言う客観的な場所で、イコールコンディションのタイヤを使って速さを結果で実証する必要があるんです。自動車に何を求めるのか人様々ですが、伝説や歴史がブランドを創るんだから大切にして欲しいなぁ。

 でもモーターショーに展示されていた無駄にデカく車高も高そうなGTRを見ると『???』と思います。
 レクサスLF−Aの寸法(4400×1860×1220mmホイールベース2580mm)を見ると『ツボが判ってるなー』と思うのでGTR好きの私はチョット悔しい。

 まぁ詳細なデータを見ていないから、今後が楽しみですけどね。




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